眠るための夜ではない

日々綴った詩を更新してます。

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2016.12.15 Thu

棺桶の中に裸の体が横たわっている
女たちは花束を 男たちはキスを持ち寄る
鈍く照らし返す陰毛の隙間から
萎んでやせ細った性器が見える
よじれてかさついた小陰唇は私に
乾燥させた茸の類を連想させた
染みだらけの二の腕はいかにも
あの静かな森の奥に横たわった
苔に覆われたふくよかな倒木のようだ
行儀よく白粉を塗った皮膚の下から
この有機体はあの笑い声を響かせている
誰も素知らぬふりだ
強靭な精神などというものがありえるでしょうか
式場の隅で壮年の男が呟いている

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2016.12.15 Thu

騒がしい居酒屋の隅で
白くか細い手首を
大層愛しげに見つめる男の視線が
私をざわざわとさせる

人知れず咲いた花に
「人知れず咲いた花」などと名前をつける矛盾を
ひとりほくそ笑むみにくさ
木枯らしの吹きすさぶホームで
古ぼけたコートの裾を寄せるのはいつも同じ老婆

地獄の業火などありはしない
古ぼけたガスコンロのとろ火で
火傷するくらいがせいぜいだ

2016.12.15 Thu

恥じらうつま先をあなた方は見聞きした
針の突端に乗せた部屋など居場所ではなかった
骨を折って生きるくらいなら死んだほうがマシだ
淑女はスカートの裾を握りしめていた

母の体に刻まれた恥ずかしい印が
私のどこかに紛れているような気がする
私は幾重にも着飾り それでいて丸裸だった
あなたの視線という至福を浴びて

目をつぶり、声を殺し、足を開く
吐き出そうとしているのか呑み込もうとしているのか
それすら見当はつかなかったが
きらめく水面へと私の体が浮かび上がっていくのだけがわかった
祖母を母を娘を差し置いて
肌を覆う鱗もつるりと剥けていった
爪のない指のようにひりひりと傷んで
私はやがてあなたになった

2016.12.13 Tue

つめたい指先でタバコを啜る
まばらな窓の明かりを伝い
旋律はひとりでに帰宅する
砂嵐とカレンダー
思い出と祈り
風下のガソリンスタンドでは
今日もひとりでに夜が降った

2016.12.12 Mon

沈黙がわからずやを納得させるだろうとAは思った
ネギを背負った鴨は安泰だ
団地のぬかるみで子供が溺死した
橋の上には月がかかっていた

冬が終われば何もかもうまくゆくはずだとAは思った
黒猫がはしごをくぐって朝の蜘蛛を殺した
駅前の床屋の跡地にコンビニが建つそうだ
トラックのケバブ屋はいつのまに姿を消していたが
競馬場は今日も賑わっていた

遺産相続を巡る兄弟喧嘩などうんざりだとAは思った
物思いに耽るあまり出先で買ったビニル傘を彼はまた電車に忘れた
のどかな通学路を恨めしげに眺めて大家が
昔好きだったCDを一枚ずつ叩きつけて割っている
68年ぶりのスーパームーンは雲に阻まれて消えた
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