眠るための夜ではない

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2015.05.26 Tue

誰にも言わないでおくれよ
僕は泣きながら殴った
殴りながら泣いた
怖いのと強いのとは紙一重で
「紙一重」ってのは「同じ」ってことだった
夏の暑苦しい畳の上で
母さんと父さんが互いの上に跨りあっていて
はあはあ言う音が煩いんだってばもう
膨張したタンクトップが襖を押し上げる
そいつはもう爆発しそうで
父さんは母さんを殴れるし、
母さんは僕に泣きわめくけど、
この家には僕より小さなものは
このフォークぐらいしかなくって
だけどフォークは殴るためのものでも泣きつくためのものでもない
突ついたり刺したりかき混ぜたりするものだ
と、Yahoo知恵袋にはある
人に聞く前に調べろよって
二件くらいのコメントがついてる
知ってるんだ
知ってるんだ
不安だから二回も言ってしまう
知ってるんだ
知ってるんだ
誰も聞いてないから大きな声で言ってしまう
フォークを殴っても痛いのは僕で
でも少し安心する
それが柔らかくて、優しくて、良い匂いのするものだったら
きっとくせになってしまっただろう
(誰にも言わないでおくれよ)
誰にも言わないでおくれよ
(誰にも言わないでおくれよ)
こんなこと人前で話す話じゃないだろ
猫も犬も殺していないから
卒業アルバムに変なことも書いていないから
セックスなんて誰でもやってることだから
僕は有名人にはならない
なろうとも思わない
父さんの精子が母さんの卵子に一番にたどり着いたとき
それが僕には一生に最初で最後の一等賞
で、今度は何がもらえるんだろう?

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