眠るための夜ではない

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2016.12.12 Mon

沈黙がわからずやを納得させるだろうとAは思った
ネギを背負った鴨は安泰だ
団地のぬかるみで子供が溺死した
橋の上には月がかかっていた

冬が終われば何もかもうまくゆくはずだとAは思った
黒猫がはしごをくぐって朝の蜘蛛を殺した
駅前の床屋の跡地にコンビニが建つそうだ
トラックのケバブ屋はいつのまに姿を消していたが
競馬場は今日も賑わっていた

遺産相続を巡る兄弟喧嘩などうんざりだとAは思った
物思いに耽るあまり出先で買ったビニル傘を彼はまた電車に忘れた
のどかな通学路を恨めしげに眺めて大家が
昔好きだったCDを一枚ずつ叩きつけて割っている
68年ぶりのスーパームーンは雲に阻まれて消えた
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