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眠るための夜ではない

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2015.05.16 Sat

優しい
とても優しい音がして
扉は閉じた
閉じきった

夏はまるで
とぐろをまく蛇のように
あやしくうねって
それでいて激しく
激しく僕に噛みついた

ふいに思い出す
いつか夜明けの駅前で見た
あの寂しい人たちは
みなやがて狂っていくのだろうか
あるいは冴えていくのだろうか
どうだろうか

魔性を帯びた優しい掌を
凶器のような正しい眼差しを
君も知っているだろう
繊細な魂の持ち主
扉の閉じた音を
確かに聞いた者

そしてそれからも
夏は来た
来続けた
幾年も幾年も
それは同じ夏だった
毎度毎度
そして今、太陽はもうここを去らない
一生 去らない
そのとき確かにここは
閉じた扉の内側だった

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