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眠るための夜ではない

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2016.04.22 Fri

駅前の寂れた喫茶店で
失恋したN子が食べかけのパフェに落とした涙
その涙と同じ一滴が
今 上司のグラスの中で反射している

本棚に立ち並ぶ大小の背表紙
フォントは多様でも 浮かび上がる不安は似たり寄ったり
平日の団地広場、真昼間の海浜公園
つまはじきにされたよじれた背中たちを
海の向こうでいつもうたっている人がいた

わたくしの苦悩など、あなたの苦悩には遠く及びません
そう言って集まった人々はみな紙袋を持ち帰った
誰が一番高いお土産を持たされたのか
男達は勘ぐるばかりだった

ぎゅうぎゅうの冷蔵庫と空っぽの洗濯機を背負い
女達は今日もそこにいない人へ宛てて力ない溜息を吐く
彼女達には諦める権利があった
それ以外には、穴の空いた靴下一つさえ
持っていなかったけれど

夜が来て辺りが暗くなると
蝋燭以外のものは全て役立たずになった
向こうの壁も見えないほど広い部屋で
いつしか私達はここが部屋であることを忘れ
やたらに強がり、あるいはやたらに卑屈になったけれど
そんな目くらましも「これ」の前には焼け石に水
しまいにはみんなただがむしゃらに祈った

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