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眠るための夜ではない

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2016.04.27 Wed 写真集「忘れられた人々」に寄せて

忘れられた干し草のベッドで
風を浴びるだけの剥き出しの胴体があった
冷えたコンクリートに頬を寄せて
過ぎる時間を受け止めるだけの使い古した身体があった
空は淡く滲み
雲は細く途切れて
昼と夜の境さえ朧気な日々に
私は生まれ落ちた

壊れた額縁の中
そこが私の居場所
音のない窓
色のない庭
老人と子供が同居するその瞳は
澄んでいるのでも淀んでいるのでもない
ただ何も知らなかった
夏がどこからともなく忍び込み
触れたもの全てを腐らせていくと
そんなとき私は自分が
一切れの肉塊であることを知った

私達は消えてなくなったわけではない
降り注ぐ雨に削られて限りなく小さくなり
そして見つめていた
石積みの壁を
くすんだ窓を
立ちこめる霧を
代わり映えしない天井を
天井さえない頭上を
剥き出しの臀部を
指のない手を
遮られた景色を
忘れられたベッドを

途切れた音を紡ぐ光
魂が手探りで先へ進む
昨日も明日もない道程に
夜だけがそっと寄りそった
手紙も足跡も残さず
声も体温も残さず
そしていつか私の死ぬ日に
あなたが生まれ落ちるだろう



写真集:忘れられた人々に寄せて
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