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眠るための夜ではない

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2011.01.15 Sat 悪い知らせ

二ヶ月遅れでやってきた

ふるさとからの手紙は

色褪せた便せんと真新しい切手で

ドアの下に差し込まれていた


居間へ降りていくと

庭で洗濯物をしていた母が

後ろでにぴしゃりと窓を閉めたところ

忍び寄る夕方が閉め出されて

家中の壁を引っ掻く

妹は怯えていた


拾い上げた封を開くなり

雨は鬼のように屋根を叩いて

古びた木造の家を上下に揺さぶった

カウンターの側に立っていた僕は

辛うじて机にしがみついたが

ぼうっと立っていた母と妹は

嵐の日のたんぽぽのようになぎ倒され

ベージュの壁紙に強く頭を打ち付けた


僕は割れた食器を避け 重なり合った棚をどけて

泣きながら 母と妹のまだ暖かい死骸を

読み終わらない手紙でそっと包んだ

封に戻し もう一度のりを塗って

妹が飼っていたモルモットに食べさせた


外に出てみると

先ほど母が掛けた洗濯物が

まるごと泥にまみれて地面に落ちていた

僕は涙と鼻水でぐしゃぐしゃの顔を

シーツに擦りつけ

この惨事をどう説明したものか

考えあぐねながら いつまでも遅い父の帰りを待った

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