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眠るための夜ではない

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2011.04.16 Sat no title

「よくあることだ」

濡れて張り付いた髪の先を

指先でそっと解きながら

男はそう言った


湿った掛け布団のように

覆い隠している雨雲を見上げて

縁側によどんだ夏の空気は

死人の口から漏れるガスのごとく

そっとそっと天へ召されていく


足下に砕けたスイカが転がり

彼はべたついた手で拾い上げ

私は「いいえ」と首を振って

彼はにやにやと笑ってみせ

やはり「よくあることだ」と言って


手元の線香花火は湿気ているので

今晩は代わりに

夏の命日を祝うことにする


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